『自意識(アイデンティティ)と創り出す思考』ロバート・フリッツ

自意識(アイデンティティ)と創り出す思考

ロバート・フリッツ (著), ウェイン・S・アンダーセン (著), 田村 洋一(監訳) (翻訳), 武富 敏章 (翻訳)

¥ 2,484

自意識(アイデンティティ)の問題が、望む人生を創り出す能力をいかに妨げるかを紐解いていく画期的な本。
本書は、自己啓発ムーブメントにおけるポジティブ思考や自己肯定感(セルフエスティーム)を高めることがブーメラン効果となり、人々が成功を創り出すことを困難にすることを明らかにしています。
著者は、「あなた自身について」考えることが重要ではなく、「あなたが創り出したい成果」にフォーカスすることが重要だと言います。実際に、自分自身ではなく、自分が望む成果に集中すればするほど、学び、成長し、必要なスキルを開発し、最も重要なことを生み出すことができます。本書は、みなさんが本当に望む人生を創り出すための重要な羅針盤となるでしょう。

人生やビジネスを創り出すのに自分が何者かなんて関係ない!
―理想や才能にとらわれずに望む人生を生きる

【本文より】
読者の中には、いい自己イメージが大切だとずっと聞かされ続けてきた人もいるかもしれない。
しかし本書を読むうちに、自己イメージなど全く大切ではないということがわかるだろう。
本当に大切なのは、いかに効果的に自分が生きたい人生を構築できるかなのだ。
本書では、そのことを構造的、精神的、心理的、医療的、そして生物学的次元で次々と解き明かしていく。

【監訳者 まえがきより】

創造という名の冒険の世界

原著タイトルはたった一語で「アイデンティティ」(Identity)となっており、「自分をどう思うかなどどうでもいい理由」(Why it doesn't matter what you think about yourself)と素っ気なく書き添えてある。この一冊の本がどれほどの起爆力を持っているかは、ここでどんなに言葉を尽くしても伝えきれない。それは共著者ロバート・フリッツの教える方法を学んで実践した人たちが自分たちの体験を通じて身をもって知っていることである。
私自身の体験は今から25年以上前にアメリカの書店でたまたまロバートの著書を見つけたのがきっかけで始まる。クリエイティング(Creating)と銘打ったさりげない本は画期的な内容だった。何かを創り出すということのエッセンスと、何にでも具体的に応用可能なメソッドが紹介されていた。そして2002年の春に米国バーモント州のロバートの自宅で初めてロバートに出会い、その年の後半に独立起業し、以来ロバートの教えに沿って自分の創り出したい成果を創り出しながらビジネスや社会活動を展開してきた。
ロバートの教える方法は魔法ではない。こうすれば必ずうまくいくという秘訣でもない。あっけないほど明快な論理で考え方が示される。実行するのに特別な才能は要らないし、我慢強さも意志も要らない。自分の創り出したい成果が何かを見つけ、現実を曇りのない目で見て、必要な作戦を立てて一歩ずつ成果に向かって歩むだけである。
実際にロバートは自分自身の教える方法に従って創り出したい成果を自在に創り出してきている。その成果だけを見れば天才にしか見えない。実際、私が初めてロバートに出会った頃には存在しなかった成果をロバートは創り出している。
今回ようやく翻訳出版に至った本書のメインテーマである自意識(アイデンティティ)は、その成功の鍵である。
この中のひとつの章でもきちんと読めばわかることだが、本書の教えることは無数の類似書物の教えとは水と油ほど違う。古今東西の著名な作家や指導者が常識として教えてきたことがあっさりと否定されている。数多くの自己啓発書の類に親しんできた読者はきっと面食らうだろう。
一方、「計画を立てて着実に実行すれば成果が上がる」というありふれた処方箋が書いてあるだけだと思う読者がもしいたとしたら、それは全くの見誤りだと注意を促しておきたい。本書はまさにそういう常套手段では変化が長続きしない理由と、ではどうしたらいいかという具体的な方法論を示している。
本書は実用書である。数多くの学術研究によって実証される内容だが、学術書ではない。読者はためらいなく本書の教えるところを実践に活かしてほしい。まずは少し試してみて、もし効果を少し実感できたなら、もっと広範囲に、もっと深く、もっと大きな使い方をしてみてほしい。私自身が25年にわたってそうしてきた。自意識を棚に上げて挑戦し、たくさん失敗し、多くの失敗から学びながら、創り出したい世界を創り出していく。
数多の指導者を啓発してきたロバート・フリッツ、そして共著者のアンダーセン博士が案内する創造の冒険の世界へようこそ。

田村 洋一

目次
創造という名の冒険の世界
日本の読者のみなさんへ
第1章 自意識(アイデンティティ)
成功は自己肯定感(セルフエスティーム)がもたらしたものではない
人類を悩ませ続けるもの
自己啓発業界の罪
ふたつの戦略
大物(グル)たちの誤り
誤った測定指標
好きか嫌いかは選択できない
自意識(アイデンティティ)の諸問題
社会からの間違った働きかけ
第2章 「理想」と「嫌な思い込み(ビリーフ)」
理想はかなうのか
人は信用ならないのか
理想はどこから来るのか
嫌な思い込みを見つける
理想・思い込み・現実の葛藤
レディ・ガガの涙と嫌な思い込み
革命が始まる
第3章 あなたは誰?
エコノミストの侮辱
あなたは誰? それを知ってどうするの?
自分を定義することの不毛さ
自分が何者かなどと問うのをやめる
第4章 目に見えない構造
構造が人生を決定する
根底にある構造とパターン
遺伝でも教育でも宿命でもない
構造とは何か
ベルヌーイの定理――緊張解消システム
弓矢の原理――緊張構造
理想と嫌な思い込み
勝ち組という自意識
嫌な思い込みは消えない
自分をどう思うかは関係ない
第5章 ポジティブ思考は有害だ
自分に嘘をついていたくはない
アファメーションのブーメラン効果
ポジティブ思考で駐車スペースは見つかるのか
信仰と自意識
観念という寄生虫
人生のパターンを一新する
考えと現実が対立するとき
第6章 構造が変われば行動が変わる
マシュマロ実験
葛藤の操作
意志の操作
構造を新たにする
プライマリー選択とセカンダリー選択
第7章 内なる脅威
サイレントキラー
ストレス反応のメカニズム
理想・思い込み・現実の葛藤が心身を蝕む
理想を脅かされるストレスは消えない
自意識とストレス反応
構造を変えれば生きる活力を取り戻せる
第8章 才能と完璧さ(パーフェクション)という思い違い
完璧な人間とは誰のことか
プラトンの理想
完璧さという幻想
不完全さを愛でる
才能を使い果たしたい
自意識と才能
才能を活かす義務があるのか―自由と義務のせめぎ合い
第9章 役割とステレオタイプ
「男なら」こうあるべきだ
ジェンダーロール(性役割)と自意識
ブラジャーがたくさん燃やされたあとで
性別は自由を妨げる理由にはならない
第10章 自分の存在を正当化しようとする過ち
存在証明という「善行積立」
役立たずの人間には価値がないのか
人生に必要のない重荷
自分の存在を正当化することはできない
第11章 創作者と創作物
プロフェッショナルとして生計を立てる人たち
創作者にフォーカスする
投資対効果メンタリティが阻むもの
創作物にフォーカスする
素晴らしいことは全てそれ自身のためになされる
成功と失敗と自意識
フォーカスを移す
第12章 自分自身を追いつめる
嫌な思い込みを増幅する人たち
葛藤の操作、再び
客観的な批判と主観的な批判
自分を操作する
第13章 自意識と偏見
カテゴリー思考
部族主義的な対立
過激化する人たち
帰属集団と自意識
オーケストラへようこそ
見た目で分類してしまう
医師も例外ではない
無知
自意識と偏見
第14章 自意識が肥満を生む
肥満は価値を下げる?
埋め合わせ作戦
フォーカスを自分から成果に向ける
これまでとこれから
第15章 広告に踊らされる自意識
広告と自意識
例の顔つきは本物か
自意識のために卵をひとつ足す
自意識と成果
第16章 個人と社会
自意識と社会的地位
離れていながらともにいる
ダークサイドの正体
独りで、ともにいること
社会の中の一個人
第17章 教育やトレーニング、コーチング、コンサルティング、セラピーの場合
教えることと教わることのからみ合い
芸術やスポーツの伝統
2種類の援助
第18章 ふたつの世界
自意識に囚われない世界
モンスターたちとの戦いを終わらせる
学習と脱学習(アンラーン)
メタノイア
終章 真の創造プロセスに向かって
謝辞
訳者あとがき
用語集

単行本: 264ページ
出版社: Evolving (2018/9/10)
言語: 日本語
ISBN-10: 4908148171
ISBN-13: 978-4908148170

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